4月上旬の研究所だより
はじめに
温暖化、桜咲かせて あとは雪

関西、岡山では、2月は記録的な温暖化、3月上旬早くも桜便り。どっこい、3月大雪注意報や台風並みの強風です。 自然界の生き物、かなりの戸惑いとエネルギーの消耗。農業にとっては大変な季節です。こんな経験は過去覚えがあり ません。3月は李、4月は桃が満開ですが蜜蜂も姿を見せません。毎日のように、霜注意報が出ています。今年の夏 以降の果物、特に露地物は期待できそうにありません。正常化を天に祈る今日この頃です。
(写真は満開の清水白桃)
作業内容
1.「全国新品種育成者の会総会」へ参加
3月7日、8日、熱海で開かれ、林君と参加しました。

総会後、園芸研究所(神奈川県)を視察。現代科学の粋を集めたかのような設備に驚いたり羨ましがったり・・・。 庶民の研究とは余りにもかけ離れている施設設備なので、何とも言いようのない思いがしました。民間育種も、もっと国の助成が欲しいです!

今回林君に会への入会をお勧めし、同行していただきました。彼は30歳。ぶどうの新品種育成に青春の夢をかけ頑張っています。私の育種の後継者と期待し応援しています。

2.接木の準備
剪定の時に取っておいた穂木と台木を目的に合うように切り揃えて、品種ごとに袋へ入れて冷暗所で保存します。(写真上)

時期が来たら温湯消毒をしてから、品種ごとに接ぎ木をします。リンゴ箱にオガクズを湿らせたものを敷き、サンドイッチのように敷きつめていきます。接ぎ木した枝を並べては一段ずつオガクズで 挟んでいきます。芽の出る方向を定めて並べ、出来たら箱を暖かい場所で温度管理をしながら発芽を待ち育苗します。(写真下)
3.江尻2号ハウスビニール張替え
2003年春に建設したこのハウスは強化フィルム長期展張用厚さ0.15mmを使用しました。お陰で、事故なく7年目を迎え、もし強台風が来れば安全保証は 限界です。原油高騰のためデフレ下でもビニール価格は著しく高騰、止む無く、1号ハウスは次年度回しで、不安です。
4.ここでハプニング!
熱海から帰宅途中腹痛がしたと帰宅。翌日主治医で受診。その翌日緊急に入院せよとの指示。胆嚢摘出手術を・・。総胆管へも1つ石が詰まっていたのを除去し、 胆嚢も摘出しました。

現代医学の進歩と病院関係者のご親切はもとより、ぶどう仲間のやスタッフの皆さんのご好意を身をもって体験。感謝して無事25日退院。

5.発芽前防除
主人が入院中、防除作業をする時期になり、心配してかけつけてくださった高原さん・林君のご好意で、自宅・江尻ハウスは勿論、裏庭や前庭の木々にも薬剤 を噴霧して下さいました。

全て「わしがする!農薬は皆にはさせられん。」と言って、これまでは一人でしていたので、本当に戸惑うだけでしたが、色々教え ていただきながら終わりました。

3日後、高原さんが薬害が出ていない かと、わざわざ見に来て下さったのには感激でした。植物を愛する心をいただきました。

上の写真(高原さん)
薬剤散布残液を調べておられます。

下の写真(林さん)
レインカット栽培のぶどうに散布中です。
6.実生ぶどうの種まき
やっと元気を取り戻した主人。気になっていたブドウの種まきが出来ました。昨年交配した[7組のぶどうを房ごと」冷蔵庫に保存していたのですが、手分けをして種を 取り出し粒を数えて名札を立てて蒔きました。

Oniビジョンの福島さんが交配された品種が6種、主人が交配した1種。合計600粒を蒔きました。5〜10年後には実の調査選抜 を経て、素晴らしい新品種が誕生する事でしょう。大きな夢の第一歩です。
7.発芽状況
二重被覆したハウスは、夜の最低気温が露地より、3〜5℃高く、発芽が約2週間早まります。しかし、3月末からと4月7日〜8日の低温でかなりの障害が発生しています。 目下、芽かぎ中です。一喜一憂しながらも、今夏に期待し、頑張っています。
その他
1.HPからの情報配信
今年度のHPについて、予定を立てたり色々教えていただいたりしています。PCの使い方や必要な資料の印刷依頼等、幅広くお世話になっています。江尻ハウスの近く にお住まいなので、何かにつけて有難い事です。お二人の前だと特に雄弁になる主人です。温かい話し言葉と優しい微笑みにいつも癒されています。
2.恵子広島へ
春休みに入るスタッフの皆さん。林さんの誕生日のお祝いを早めて、ついでに3月28日に長男の元へ行く恵子とのお別れの食事会。主人が入院中とあって寂しい会でした。 長男が単身生活10年。最近健康上の不安を訴え、恵子はあるべき生活再現のため、愛犬ワトソンと共に広島へ転居しました。

私共も新婚さんに逆戻りです。本来、安定した経済状態なら、ぶどうづくりに挑戦する予定だったのですが・・・。
3.ブドウ栽培92歳の情熱
熊野古道で有名な和歌山県田辺市から、谷口さんら3名が4月3日に「瀬戸ジャイアンツ」の勉強に見えました。一度ならず二度までも脳梗塞で命を危ぶまれたのですが、 手押し車を押して歩けるまでに快復。『「瀬戸ジャイアンツ」を食べたい」と、近郊はもとより、京都の方からもお客が来て下さる。こんなやりがいのある仕事はない!』 と、ブドウに貰った長寿を喜ばれる。

気力そのものを感じ豊産を・・・と祈りました。何年も前に差し上げた資料を、きちんとファイルされて持っておいでになり、几帳面 さにも驚きました。100歳まで頑張って! 
4.体力快復ー軽作業盆栽の植え替え
3月の上旬は早すぎる白木蓮の開花に、寒の戻りを心配して入院していました。案の定、時期を失した寒波!一朝で真っ茶色の花と 化し、みじめな姿になりました。自然は何を教えてくれているのでしょう。

退院後、「2週間は用心して…。」と言われた医師団との約束を守りながら過ごしました。丁度寒かった間を病院と我が家で安静に暮らし神様に頂いた休養は何よりのご褒美だったのでしょう。

手はじめに庭の鉢植えの手入れをしました。もう大丈夫です!無理をしないように気をつけます。一番心配をしてくれた家族に感謝しつつ。