研究所11〜12月の話題
1.生育と管理


毎年温暖化の心配が強まる中、今年も紅葉の季節到来が遅れています。 山陽路瀬戸町では、まだ薄霜が12月7日の1回のみ。おかげで、友人にいただいた「皇帝ダリヤ」が長期間咲き続けました。

ぶどうは落葉の季節を迎えても、初秋の装いです。既に光合成能力を失った葉は居候と同じですから、12月半ばを過ぎれば摘葉して無駄な養分の消耗を避け、休眠を促します。葉は堆肥にしています。

剪定は年が明けて中旬頃始める予定です。
2.主な作業




@灌水 
葉はなくても土の表面から水が逃げると乾きすぎの心配があります。根の健康を護るために、1週間おきに約5ミリ定期的に灌水します。

A 苗木の育成と掘り取り
苗木の育成は高度の技術が必要です。植え付け以降期待通り順調に生育しておりましたが、7〜8月の悪天大雨で苗圃の一部が浸水し、「ハイベリー」・「涼玉」が残念ながら枯死株が多く失敗でした。 苗木の掘り上げは、11月下旬から12月上旬が悪天続きのため、昨年より半月遅れました。支柱を取り除き1株ずつ品種名のラベルを付けてから 摘葉し、断根しないように鋤で1株ずつ掘り上げました。体力も技術も必要です。いつも応援して下さる方々の助けを借りて頑張りました。スタッフの皆さんも、長靴スタイルで活躍して下さいました。



B 苗木の発送
ご注文を頂いた順に、12月10日からやっと発送を始めました。

3.トピックス
@ 研修視察者が来園
ぶどう収穫中はご遠慮いただいていた来園者も、10月下旬からご予約をお受けしました。瀬戸ジャイアンツの栽培についての研修や、これから導入を目指す若い方々、これから就農を検討している方、大学で卒業論文の 研究テーマに取り上げたいと来られた学生さん、農産物輸出入関係者等々相次ぎました。異色としては、建設・土木部会の団体の皆さんが来られたことです。
A花澤会の研修会兼忘年会
12月早々岡山の名湯、湯郷温泉で会員相互の作柄の報告を聞き、評価・反省を行いました。翌日は、NHKテレビ特集で紹介された、トルコ出身者の素晴らしい夢に向かって挑戦中の「アリババファーム」を見学、感激を新たにしました。

B 果樹栽培を楽しむ会の研修会兼忘年会
12月6日、あいにくの悪天でしたが2号ハウスの中で15名の集いでした。一人ずつ今年の出来具合や課題・希望などの発表を聞き、昼食をはさんで、熱心な質疑応答が繰り広げられ、素晴らしい研修会となりました。来年は、発芽期前後の管理の要点を勉強したい、ということになりました。
C 選定証受け渡し
岡山農業普及指導センターから関係者2名ご来園。11月12日付の「農業技術の匠」選定証を頂きました。農林水産大臣赤松広隆様の名で。 『ぶどう「瀬戸ジャイアンツ」他7品種の育成』が地域に普及し、地域活性化に貢献することが期待できるということで、推薦して下さったようです。昨年は全国で28名選定(岡山県関係者なし)、今年は14名、全国で計42名の匠が生まれました。(岡山県関係者3名)
5.終わりに
今年も残り僅かになりました。皆さまから賜りました温かいご支援ご愛顧に深謝しています。活気の乏しい年の瀬を迎えましたが、皆様のご健勝とご多幸をお祈り申し上げます。どうぞよいお年をお迎え下さい。

「新」という漢字は、ぶどうに学びどうと共に生きる私達には、永遠の課題です。時代が移り生活が変るそのスピードに負けないよう、一途な精進を続け皆様のご期待に報いたいと思います。来る年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
                                                                 花澤 茂