研究所4月の話題
 今年は春の足音を聞いてから、予想外の春寒が居座ってしまい、開花に戸惑う桜花がかわいそうでした。4月3日、農園近くの桜花がやっと咲き始めました。3分咲きです。ポカポカのぶどうハウスの中よりの観桜は最高です。明日は満開でしょうか。予報は4日雨です。
 野山の落葉樹群の梢が黄ばんで見え始め、本格的な春への突入を知らせています。露地の(レインカット)ぶどう畑で、芽の膨らみがわかるようになりました。
☆ぶどう生長と管理
 【生長】
2月にハウスの二重被覆に着手し、3月から夜間の保温管理を始めたぶどうは、3月下旬頃より芽が膨らみ始めて4月4日現在、発芽最盛期を迎えました。早く出た芽は既に約20cm位で、4〜5枚めが展葉中です。これらの新芽(梢)の発生状況で今季の出来具合が左右されるため、生長に応じて良果生産のため、芽かぎ、摘心、、花穂調整など多忙な管理が始まります。



【管理】[芽かき]
発芽期は、毎日、新梢の生長を観察して廻り、必要な枝、不要な枝を判定して、[芽かき」という作業をしています。残して大きく育てる枝は、品種や育て方で差がありますが、棚上1m2に約4〜5本に調節し、どの枝葉も太陽の恵みを平等に受けるようにします。

[ビニール張り]
レインカット栽培では、発芽期に雨にぬれないように雨よけビニールをかけます。

[保温]
日中気温が30℃以上にならないように、そして、夜間最低気温が10℃以下にならないよう、毎日朝、夕二重被覆ビニールの開閉を続けます。日中気温が高すぎても、また、夜温が低すぎても正常な生長が阻害され、良品生産を妨げます。昨年は下旬に二重被覆を取り除き一重に戻しました。

[潅水]
ぶどうの枝葉の展開が増え、気温が高く、日照時間が長くなると、蒸散作用により水分消費量が増えます。また、土地表面からの蒸発する水も多くなり乾き易くなるため、潅水が必要です。特にハウスは雨水が入らないため定期的な潅水をしています。

今月末頃には発芽の良い枝は1m以上伸びてくるため、開花に備えて枝の伸長を止めたり[摘心]、花穂の数や大きさ形を整える[房づくり]などの作業が始まります。
☆苗木の育成
ぶどうの苗はさし木とつぎ木があり、さし木は特に自根苗とも呼んでいて、ぶどうの枝を単にさし木したもので、誰でも簡単に作れます。しかし、早晩根に寄生する虫にやられ、果実の生産には不適です。当研究所では、虫にやられない専用台木を使ってつき木苗を育てています。今年は全員つき木を学習し、つぎ木苗の育成に励んでいます。目下は苗床で培養中です。5月上旬に苗畑へ移植して大きく育て、11月に堀り上げ、販売します。
☆病害虫対策
休眠期に粗皮けずりで越冬病害虫の棲息密度の低下に努力しました(カイガラムシ、トラガ)。更に、発芽直前に農薬オマイト1,000倍液、石灰硫黄剤7倍液のどちらかを全圃に1回散布しました。ダニ類、うどんこ病、カイガラムシの予防です。下旬頃、CFW散布を予定しています。

左写真は例年より早く咲き始めた藤の花
(2009.4.19撮影)